はじめに

こんにちは。株式会社オンズの原一勢です。
今日の記事はちょいと辛口です。

はじめに次の質問に答えてみてください。

「自分が住む家を作るとき、未経験の大工に任せられるか?」

まず間違いなく、答えは「ノー」ですよね。

ですが昨今、フリーランスという働き方に注目が集まり、その道に足を踏み入れ、素人同然にも関わらず「仕事をください!」と手を挙げる"未経験フリーランス"の方々が多く目につきます。

アナタ!
そこのアナタ!
耳が痛いハナシかもしれませんが、もしかするとアナタも「未経験からWebエンジニアを目指す」みたいなキャッチコピーに踊らされていませんか?

アナタもしかして、甘いハナシに釣られてこの業界に興味を持ち、数ヶ月間のスクールで基礎を学び、卒業後にいきなりフリーランスで仕事を受注しようとしていませんか!?

言いたいことが山ほどあるので、今日は「こんなウェブ系フリーランスには仕事を任せられない!」というタイトルで、失敗するWeb系の未経験フリーランスの特徴を挙げていきます。

こんなフリーランスには仕事を任せられない!

営業メールがテンプレート

「こんなフリーランスには仕事を任せられない!」最初のポイントは、テンプレートどおりの営業メールです。

受講したオンラインスクールでメールのテンプレートが配布され、それを使うように指導されているのでしょうか?
弊社に送られてくる多くのメールが、たいていは次のような書式に則っています。

株式会社オンズ ご担当者様

突然のご連絡失礼いたします。
私は●●県を拠点としてフリーランスエンジニアとして活動させていただいております●●●と申します。
主に法人様、個人事業主様向けにウェブサイトを制作しております。

「Web制作を通じて企業に貢献できる仕事がしたい」と制作会社さまを探していたところ
御社のウェブサイトを拝見し、ぜひパートナーとして制作のお手伝いをさせていただきたくご連絡いたしました。

以下に私のプロフィールを記載いたします。
お忙しいところ誠に恐れ入りますが、ぜひご一読のほどよろしくお願いいたします。

■経歴
 ●●出身。●●在住。
 高校卒業後、●●業に●年間従事し、現在は個人でWeb制作事業を行なっております。

■スキル
 HTML / CSS / JavaScript / jQuery / PHP / WordPress / Adobe XD / Photoshop / illustrator

■以下のような業務が可能です
 ・ランディングページ制作 ・複数ページの制作 ・Wordpressを用いたWebサイト制作 ・jQueryを用いたアニメーション実装 

■実績
 私のポートフォリオのURLを添付させていただきます。よろしければご覧ください。
 http://example.com

■制作費の目安
 ・Wordpress制作: 15万円~
 ・LP制作: 1ページあたり5万円~
 ※制作費は、あくまで目安であり別途ご相談させていただきたい所存です。

■対応可能時間
 9:00時 ~ 18:00時 

■自己PRなど
 ナンチャラカンチャラ

上記のとおりです。初回取引においては大幅な値引きも可能です。
お忙しい中ここまで読んでいただきありがとうございました。何卒、ご検討をよろしくお願いいたします。

身に覚えがありませんか?

もう読み飽きました、このメール。

ウチの会社、株式会社オンズには、毎日のようにそんな"未経験フリーランス"の方々から「仕事をください!」という趣旨のメールが届きます。
ピロン!とメール受信の音がして、確認してみるといつものこのテンプレート。
「あぁまたか」と意気消沈します。

弊社だけでなく、多くのウェブ制作会社様が同様のメールを大量に受け取っているはずです。
ウチよりも規模の大きい会社では相当数のメールを受信しているはずですから、担当者のかたは辟易しているのではないでしょうか。
送信者が違うとはいえ、内容がほぼ同じこのメール群。受信者にとっては単なるスパムメールであることを自覚していただきたいです。

仕事のない駆け出しのフリーランスの方々は、毎日毎日、時間を見つけてはウェブ制作会社を検索し、片っ端からコピペの営業メールを送付しているのでしょう。
ハッキリ言いますがそのメール、一瞥いちべつしただけでゴミ箱行きです。

メールの送信ボタンを押す前に、一度考えてみてください。
それは「営業メール」でしょうか?
それとも「迷惑メール」でしょうか?

リクルートサイトのレギュレーションを無視

弊社では、フリーランスを含む求職者の方々に向けてリクルート用特設サイトを用意しており、そこに必要な情報を掲載しています。

求職に関する問い合わせのために特別に項目を設定したフォームを用意しているのですが、特設リクルートサイトの存在も、特別に用意したフォームがあることも知らずに、手当たり次第に通常のお問い合わせフォームを使って送信しているのでしょう。
きちんと求職者向けのメールフォームから連絡してくる注意力のあるヒトはかなり稀な存在です。

リクルートサイトへは公式サイト(https://on-ze.com)からのリンクで辿れますが、注意深く確認しないと見逃すような場所にリンクを設置しています。
少々イジワルかもしれませんが、ほんとうにウチの会社に興味があるならウェブサイトをよく確認するだろうし、リクルートサイトへも難なくアクセスできるはずです。
そのようなヒトでなければ一緒に働きたくない、仕事を任せられない、という判断です。

ポートフォリオサイトの品質が悪い

「仕事を任せられない未経験フリーランス」の方々に共通するのが、低品質なポートフォリオサイトです。

たいていはページ遷移のない1ページのみのシングルページレイアウトで、上から順に次のような構成になっています。

  1. 屋号とグローバルナビゲーション
  2. 自己紹介
  3. スキル(業務内容)
  4. 実績
  5. お問い合わせ

この構成は多くの制作会社が採用していますし、とてもよく考えられた流れなので否定しませんが、問題はそのクオリティです。

レイアウト、写真素材の選定、書体、フォントサイズ、配色、アニメーション、そのすべてにおいて品質が低すぎます。
フリーランスのウェブデザイナーやウェブエンジニアを名乗っていながら、これはちょっと酷いんじゃないかな〜と、目を覆いたくなります。

Bootstrapや無料のワードプレステーマを流用しているのも特徴で、これ、プロが見ると一瞬で「Bootstrapだね」「無料テーマだね」とわかります。
これも別にBootstrapや無料テーマがダメだと言っているわけではないのですが、あまりにも似たようなサイトばかりで、またツッコミどころが多く「もうちょっとデザインの勉強してみようか〜?」という感想を抱きます。

また最近では『foriio』などの無料サービスを利用しているクリエイターも見受けられます。
これはまったくオハナシになりません。

HTMLやCSSのソースコードを見るとさらに「おぅ…(絶句)」となるケースも少なくありません。

制作実績がすべて架空サイト、または学校の課題で制作したと思われるサイトのみ

制作実績を見るとさらにテンションが下がります。
最初のころは「あれ?これ前も見たような…」という既視感でしたが、最近では「またこれか…」と失望してしまいます。

ポートフォリオに掲載されている制作実績までも、オリジナルではなく画一的なテンプレート、またはデザイン模写が目立ちます。
D●LI●E!」とか「マ●ー●ーラタ」とか「P●N DESI●N」とか「●IGS●ILE」とか「●●亭」とか「Engre●●」とか、もう見飽きました!

違和感と既視感がリピートする制作実績。
まるで金太郎飴です。
デザイン模写は効果的な学習方法ですが、それは水面下でやって、ポートフォリオサイトには掲載するべきではないですね。
せっかくフリーランスを名乗っているのですから、学校の課題ではなく自身のオリジナルのものを制作してみてはいかがでしょうか?

制作実績を見るのにBASIC認証が求められる

またそれらの制作実績のリンクをクリックするとBASIC認証を求められるケースも少なくありません。

BASIC認証のIDとパスワードはメール内に記述されていますが、そもそもそのBASIC認証、必要でしょうか?

「どんな凄いウェブサイトなんだろう?」と期待してBASIC認証のサイトにアクセスしたのに、そのクオリティの低さにガッカリさせられる、毎回ほぼ100%このパターンなので、最近ではBASIC認証のポップアップが出ると、その瞬間にブラウザを閉じます。

クラウドソーシングサイトへの登録が逆に損失になっている

中にはクラウドワークスやランサーズなどにアカウント登録して案件を受注しようとしている未経験フリーランスのかたもいます。
これはいい戦略だと思います。実際に私もフリーランスの頃はCroudWorksを利用していました。
しかしプロフィールを確認してみると、未だ受注件数が「無し」もしくは「1件」のみのまま。これでは信頼して案件を発注することはできません。

発注側としては、受注歴がないフリーランスの方はそれだけでふるいに落とします。

確かに1件目の受注は大きなハードルです。
多くのライバルがしのぎを削る中、案件獲得するにはそれなりの力が要求されます。
知識と経験、また卓越した能力や、数多くの実績があればクラウドソーシングサイトでの成功も容易に見込めますが、未経験フリーランスにとっては逆に茨の道になるのかなと思います。

明確な「強み」がない

もう明らかに、飽きるほどに、ほとんどの "未経験フリーランス" の人たちはドングリの背比べ状態です。

ポートフォリオサイトの「スキル」の欄にはこのような情報が記載されています。
HTML5:★★★★☆
CSS3:★★★★☆
SASS:★★★☆☆
JavaScript:★★★☆☆
WordPress:★★★☆☆
Photoshop:★★☆☆☆

…あれ?
五つ星(★★★★★)のスキル無くね?

謙虚でいいですが、発注側からしてみたら「アナタに発注する理由」が必要なんです。

またそれとは逆に、
HTML5:★★★★★
CSS3:★★★★★
PHP:★★★★☆
JavaScript:★★★★☆
WordPress:★★★★★
のように「盛ってる」かたもいます。

「WordPress:★★★★★」と言っておきながら、そのサイトがWordPress化されていないので残念です。
同様に「JavaScript:★★★★★」なのにその技術をポートフォリオサイトで活かしていなかったり。
過去には「Illustrator:★★★★★」とあるのにフリー素材を使っている強者もいらっしゃいました。

それにそもそも、既に「HTML5」は古く、新しくは「HTML Living Standard」ですからね。
プロならば業界の最新情報は漏れなくチェックしておきましょう。

そしてポートフォリオサイトではご自身の最高の技術をアピールしてください。

ちなみに弊社ではスクールに在籍していた学生を在学中に引き抜いて雇用しています。
それができた理由は、彼自身が本当に★★★★★五つ星級の優れた技術を身につけていたから。
ですからアナタも、なにか1つでもいいので、他から抜きん出た卓越した技能を身につけてはいかがでしょうか?

料金設定が高額すぎる

未経験で知識も技術も乏しく、信頼性もない。
それなのに提示している金額が高すぎます。

おそらくこの金額設定もスクールで教えてもらったテンプレートか、あるいは自分の労働時間を時給換算するなどして見積もっているのでしょう。

私はフリーランスとして名乗りを上げた初期のころ、自分の実績を積み重ねたくてタダ同然の金額で受注して、そうしてポートフォリオを充実させてきました。
「実績を作りたいんでタダでやります!俺に任せてください!」と中小企業の社長様たちを口説いて回りました。
このやり方には賛否両論ありますが、当時のタダ働きがあったからこそ、実績だけでなく、多くの経験と貴重な人脈もできて今に繋がっています。(※注:「タダ働き」は万人にオススメする方法ではありません)
そして決して自分の能力や成果物に見合った金額以上はいただきませんでした。

"未経験フリーランス" の方々のポートフォリオサイトや、実績と成果物、またその料金設定を見ていると、「最初のうちからその金額設定、そのクオリティじゃぁ発注しないよ〜」と、複雑な気持ちになります。

お問い合わせが「Googleフォーム」で作られている

ポートフォリオサイトで「PHPが扱える!」「JavaScriptもOK!」「WordPressもお任せください!」と謳っているにも関わらず、お問い合わせフォームがGoogleフォームでできている。

問題外ですね。

ワードプレスが扱えない

このご時世「ワードプレスが扱えない」というのもウェブエンジニアとしては致命的です。

出直してきてください。

情報商材に踊らされている雰囲気

ここ数年、特にこのコロナ禍になって以降、TwitterやInstagram、またはYouTubeなどで、在宅ワークを求める若者や転職希望者をターゲットにした『フリーランスWebエンジニア養成講座』的な情報商材の広告や、その手のランディングページを多く見かけます。

時代の流れで、とても良い傾向だと思います。

今から10年以上前。
私がこの業界に入ってきたころは、学ぼうと思っても優れた教材やスクールが身近なところになかった。
だから独学で奮闘してきたし、その苦労があるので、今から学ぼうとしている人たちを羨ましく思います。

アナタたちは恵まれた環境にいる。

しかし、冒頭で述べたような魅力的なキャッチコピー(「未経験からWebエンジニアを目指す」的な)に踊らされて、またフリーランスのメリットばかりを見て、浮き足立って地に足がついていない状態のように感じます。

甘い言葉でそそのかされて、簡単にフリーランスになれると思ったのでしょう。
テンプレートのメール、テンプレートのポートフォリオサイト、テンプレートの制作実績、それらを見ると、残念ながら「搾取されている」様子が垣間見えてしまいます。

「サラリーマンが嫌だからフリーランスになった」という程度の動機なのでは?と想像してしまいます。

なんとなく信用できない、興味を持てない

「こんなフリーランスには仕事を任せられない!」いちばんの理由がこれです。

なんとなく信用できないんです。
これまでに挙げたネガティブな要素が組み合わさって「信用できないな」って感じるんだと思います。

また私の場合は、多くの似たような"未経験フリーランス"の方たちからメールやアプローチをいただいているため、より抵抗を感じているのかもしれません。

ですが逆に考えればこれはチャンスです。

気の利いたメールだったり、めっちゃ目を引くポートフォリオサイトだったり、素晴らしい技術や独創的なセンスだったり、数多くの実績だったり。そうしたものがあれば興味を持てますし、こちらから頭を下げて仕事を依頼するでしょう。

セールスポイントが何もなく、むしろマイナス要素ばかりが目につくようでは「信用しろ」というほうが無理です。

まとめ

基本的には未経験からフリーランスというのは非現実的だと思っています。
「自分が住む家を作るとき未経験の大工に任せる人はいない」ように、「実務での経験がないフリーランスに仕事を任せる人はいない」ですからね。
……とは言っても、こんなこと書いてる私自身も未経験フリーランスからはじめて今の地位を築いたし、実際に成功している人たちがいるのも事実なんですが。

しかし物事には光と影があります。
運良く成功できたのはほんのひと握りで、他の多くの人は、厳しさを知り、挫折して、この道を諦め、最悪の場合はこの業界から去っていくことになるでしょう。

もし「未経験でもウェブエンジニアになれますか?」と聞かれれば、もちろん「なれますよ」と答えます。
むしろそう答えることしかできません。最初はみんな未経験だったわけですしね。
本質的には「未経験フリーランス」とは将来経営者になるような少数の人たちが通る道です。配布されたテンプレートに頼って皆と同じ道を歩む多数の人たちには「未経験フリーランス」はオススメできるものではありません。
ですからもしかするとアナタは会社員のほうが性に合っているのでは?

しかし挑戦する価値はあると思っています。

この記事を読んで「なんだこのヤロー!」とやる気になったアナタ。
誤った戦略や能力不足に気づき、今後はそれを補って知識と技術を身につけ、独自性を発揮して、活躍されることを期待しています。
そしていつか私たちに影響を与える存在になってください!
そのときはぜひ、私たちと組んで一緒に仕事をしましょう!

以上。
上から目線の無礼な投稿だったかもしれません。
しかしどうしても吐き出したかったんです。不愉快に感じてしまったらゴメンなさい。

この記事が悩めるフリーランスの方々に届きますように。

P.S.

2024年10月。追記です。
その後この記事がTwitter(X)でバズり散らかし、想像を超える反響をいただきました。もうビックリするくらいのPVの増加です。

そんな中でいただいた素朴な質問。

「フリーランスとして『やってはいけないこと』は理解しました。でも、フリーランスとして成功するために『何をすればいいのか』が知りたいです」

確かに、おっしゃるとおり自然な疑問ですよね。
とうぜんその思考に行きつくと思います。
そこで、その答えをまとめた特別な記事を用意しました。

有料記事:『【ウェブ系フリーランス必見】月商10万円、30万円、100万円の壁を超えるために必要なこと

一部の方に先行して公開し、フィードバックを反映した改訂版です。
文字数は15,000文字を超えていますから、本記事の2倍以上の容量です。

フリーランスとして収入を向上・安定させるための具体的な戦略と方法を詰め込みました。
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本気で成功を目指してるけど、なかなか成果が出ない、そんな、熱意のあるごく一部の方に読んでいただきたいと考えています。

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※次回お申し込みは2024年12月1日以降受付開始予定です。

有料記事:【ウェブ系フリーランス必見】月商10万円、30万円、100万円の壁を超えるために必要なこと